皮革産業とCOP26

私が皮革産業の未来に危機感を持っているのは生活スタイルの変化だけではありません。
SDGs、COP26といった環境負荷の低減、持続可能な資源の利用の面から、皮革産業は大きな影響を受けると考えています。
恐らく5年後の2027年には今のタンナーの半数以上は操業できないほどの制約がかかってくると想像しています。

 

現在COP26(国連気候変動枠組条約締約国会議)がロンドンで開かれています。
COP26は気候変動の原因となっている「温室効果ガス(GHG)」排出削減をめざした動きです。
カーボンニュートラルと言った言葉を聞いたことがあると思います。

 

「温室効果ガス(GHG)」には二酸化炭素(CO2)、メタン、N2O(一酸化二窒素)、フロンガスなどが含まれます。
「温室効果ガス(GHG)」の85%を占めるCO2の削減が世界的な目標となっています。
製造過程でCO2を排出する産業は排出量の削減が求められています。

 

とは言っても、CO2排出をゼロに抑えることは難しいので、排出した分については同じ量を「吸収」または「除去」することで、差し引きゼロを目指そうとしています。

 

CO2排出は企業規模の大小に係わらず、様々な製造・消費生活で行われています。
例えば、牛の革製品を製造する際の温室効果ガス(GHG)発生は「飼料製造」「飼育(ゲップ、おなら、糞尿を含む)」「屠殺」「なめし工程」「皮革加工工程」「廃棄」で発生します。

 

COP26はすべてのCO2排出を減らすための手段を検討しています。
「吸収」または「除去」するコストを払えない業界は高額な費用を払うか、産業自体を廃止しなければならなくなります。
皮革製造業界、消費者がCO2排出を減らすための手段を講じていかないと皮革製品を作れず、私達が革靴を履くこと、革製品を使うことができなくなるかもしれません。

 

私は皮革産業に対して環境負荷を減らす操業方法を実行に移し、CO2排出量が全排出量に対して小さくし、その利点と環境負荷対策を世界に伝える必要があると考えています。

 

皮革製品のサスティナビリティ(持続可能性)及び環境負荷が取り沙汰されていますが、COP26の議論をみていると
SCDプロジェクトで皮革産業のCO2排出量をエビデンスを元に整理し発表していきたいと考えています。

 

皆さまのお知恵を貸していただけないでしょうか?

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出典「環境負荷原単位と品目別国内生産額との対応表(2000)
なめし革製衣服(合成皮革製を含む) 5,143
革靴 紳士用革靴(23cm以上) 足 12,999,809 5,226 67,937

 

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産業連関表を用いた生産過程の CO2 排出量の簡易推計
CO2 排出量/固有単位 = 3EID の原単位(CO2 排出量/百万円) × 製品等の単価(百万円/固有単位)…(1)式


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参考 「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの?2021-02-16

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産業連関表による二酸化炭素排出原単位 1997
972357-1.pdfのなかに221101 革製履物 の項目があり

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出典 国立環境研究所 温室効果ガスインベントリオフィス「日本の温室効果ガス排出量データ」